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かつて目の前まで来ていながらとうとう見ることのなかった夢の島イゾラ・ベッラ。恋焦がれるかのごとく、気づけば一人旅に出た先はスイス国境にほど近い北イタリア富裕の別荘地ストレーザ。フィレンツェからミラノ、更に汽車に揺られること一時間。深緑の山間に広大なマジョーレ湖が姿を現すと間もなく停車するのがストレーザの小さな駅である。道を下り湖畔からフェリーに飛び乗る。憂愁の色濃いアルプスの山々に囲まれた湖上に静かに佇む島々の中に夢の島はあった。17世紀ボロメオ家の当主カルロ三世が奥方のために建てたという宮殿はどの部屋からも壮麗な山々と湖が眺められ、それぞれに趣向が凝らされ贅を極めた個々の室内はため息がでるような優美さを纏っている。地下には床から天井まで無数の貝殻で施された水面にほど近いグロッタ(洞窟)仕立ての部屋あり。島全体が美しい十階層のテラスからなっているバロック庭園は、ありとあらゆる南国の植物に彩られ、様々な噴水と彫像に囲まれた中で白孔雀がその優美な姿で憩う様は、「まさにバビロンの架空庭園を思わせる美観なり。」(澁澤龍彦 『滞欧日記』より)。夢の島は期待と想像を超えて、いつまでも幻想の世界に遊ぶ永遠の夢の時間をもたらしてくれたのである。
文・写真: 山岸ルツ子 |
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